時事中年

〜デイリー・ジャポン〜

「生きるのが不器用な人へ」的な本について・・・要領下手は悪い?

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 先日ある雑誌を読んでいたら、「生きるのが不器用な人に、ぜひ読んでもらいたい本」と見出しのついた、ある書籍が紹介されていました。 
 
 私もどちらかといえば、というより、完全に不器用な人間です。 
 
 が、この手の本がどうも苦手なのです。ずっとその苦手な理由が自分でも説明できなかったのですが、比較的「これに近いかな〜」というエッセイを昔読んだことがあります。 
 
 岸田秀という心理学者、精神分析学者がいます。長きにわたり和光大学で教鞭を執り、「ものぐさ精神分析」というベストセラーがあり、2004年に定年退職されている方です。  
 
 その「ものぐさ精神分析」か「保育器の中の大人」か、どちらかに掲載されていたエッセイで「生きるのが下手な人へ」という本について、痛烈に批判した文章があります。 
 
 この文章を乱暴に要約すると、「『生きるのが下手な人へ』のような本を読みたがる

 

人は、ずる賢く立ち振る舞っている人がうらやましくて仕方ないのだろう。そんなにずる賢くなりたいか?」ということだったと思います。 
 
 これを読んで「ああ、そうか」と、妙に納得した覚えがあります。 
 
 しかし、少し前ですが「生き方上手」(日野原重明・著)のような本が売れたり、類似本がいつの時代も、手を替え品を替え出版されているのを見ると「みんなずる賢くなりたいんだなあ」と思ってしまいます。 
 
 前述した通り私も「不器用な人」「生き方下手」です。仕事が理解できないことは、今までの職場ではしょっちゅうでしたし、学生時代だと、部活で先輩に気に入られるようにつまらないギャグにわざと大笑いしている同級生が大嫌いで「自分はああいう風には絶対になりたくない」と、ブスッとした顔をして殴られたりと、「要領がいいヤツ」に「転向」しようとしたこともありました。 
 
 でも、岸田さんのエッセイを読んで「まあ、いいか」と思うようになりました。媚びてまで他人に迎合する「生き方上手」にはなりたくありません。 
 
 「下手」なことに「努力」はしても「迎合」はしなくていいのです。 
 
 まあ、「生きるのが不器用な人へ」的な本は、読みたい人は読めばいいと思います。誰も止めませんし、止める権利もありません。ただ、卑屈な人間になることだけは確実なので、注意に注意を重ねて読んでほしいです。 
 
 なお、先に書いた岸田さんの2冊の本のどちらかに(また『どちらか』で申し訳ないですが・・・)、「運動ぎらい」というスポーツを批判した文章も面白いですよ。

 

ものぐさ精神分析 (中公文庫)

ものぐさ精神分析 (中公文庫)

 
哺育器の中の大人[精神分析講義] (ちくま文庫)

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