時事中年

〜デイリー・ジャポン〜

「久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった」を読んで・・・第一章、第二章編

スポンサーリンク

 久米さんはスロースターター。TBSに採用されて間もなく結核にかかったそうです。そこで2年半、電話番をするのですが、その間にテレビやラジオで他のアナウンサーや俳優さんの話し方を見聴きし、「生活感のないアナウンサーになろう」と決意したそうです。たとえばそれまでのアナウンサーに多いのは「秋風の吹く季節になりました」というところを、気圧配置の話をする、というように。 
 
 遠回りはするものです。ゲッターズ飯田さんの月めくりカレンダーにこんな言葉があります。 

 
 「迷ったり遠回りしたぶん、他の人が見ない何かを見ています。それがその人の財産です」

 
 久米さんは見事に病気のブランクを財産にしました。それがまだ41才だったにもかかわらず、あの革命的ニュース番組「ニュースステーション」のメインキャスターになれたのでしょう。 
 
 またこの二章には久米さんの方向を決定づけるキーパーソンがたくさん出てきます。永六輔萩本欽一黒柳徹子西川きよし。 

 

 
 端折って言えば、永さんには「リスナーをおもんぱかり、自分の主張を曲げない」こと、萩本さんには「素の表情が面白い」こと。黒柳さんには「努力」を、きよしさんには「仕事に対する真摯な姿勢」を、ざっとですが学んでいます。 
 
 また久米さんは予定調和が嫌いなようです。とくに「ザ・ベストテン」のころはそこに腐心したそうです。ある世代以上には有名な「久米宏山口百恵のお尻をつかむ」事件が起きます。これは”確信犯”だったそうで、ちょっと触って「キャッ」と言わせるより、むんずとつかんで「ギャッ」と言わせたい、という考えがあったそうです。とにかく今までその人が見せたことがない表情、言葉、反応・・・それを引き出すのに必死でした。 
 
 これはキーパーソンに出てきた萩本欽一さんと坂上二郎さんのコンビ「コント55号」のコントに似ています。欽ちゃんが台本を無視して、二郎さんにムチャ振りを繰り返す。必死に応える二郎さん。時には本気で怒ります。それでもやめない欽ちゃん。「生放送では素の反応が最も面白い」ことを欽ちゃんに教わったのでしょう。 
 
 その証拠に「ザ・ベストテン」では、リハーサルと同じやりとりはしなかった、とあります。久米さんのすごいところは、どんな番組でも「テレビはこれ!」というポイントを見つけているということです。素の反応もそうですが、「しゃべらなくてもテレビは持つ」という発見には驚かされます。しゃべる仕事の人が、しゃべらない方がいいこともある、と30代で気づくのは、久米さんの才能でもあるでしょう。 
 
 (以下、つづく)